日記/贈り物・大人なのにね・来世に期待・図書館守

 

12月某日/

『劇場版 アイカツ!』を思い出してはじーんとする日々を送っている。

 やかんを火にかけておゆを沸かしてるときとか、切らしてた卵を買って帰る道とか、お皿洗い終わって蛇口をきゅって閉めたときとか、そういうぼけっとした隙間みたいな瞬間に不意に劇場版アイカツの一シーンが脳裏に蘇ってきて、ウウッて涙ぐみそうになる。日常に染み込んだ喜びは贈り物だ。

 朝起きてやかんに水を入れてコンロにかけて、沸騰するまでやかんの取手に両手とあごをかけてぼーっとするのが好き。しゅんしゅんとかごーっとかそういう音をなんとなく聞きながら意識が覚醒するのを待つ。あったかいし。そういう時間にアイカツの歌を口ずさんだりする。大人だって歌える。

 おゆが沸いたらお茶を淹れて、それから放置してぶよっとしちゃった柿を即席でジャムというかコンフィチュール的なやつにしてパンにのっけて食べた。おいしい。なんかこう書くとすごくおしゃれっぽく見えるけど柿きざんで砂糖と煮詰めてレモン汁しぼっただけです。誰でもできるぞ。

 

12月某日/

 銭湯に行ったら冬至ということで柚子湯だった。うれしい。香りがいいし、なんだか普段より温まる気がする。

 ごろごろっと柚子が数個入ってるネットが湯船にぶら下がってる感じなんだけど、浸かりながらそれを手でいじり続けてる人がいた。なんか小学生とかちっちゃい子とかってじっとしていられなくていろいろいじってるじゃないですか。病院の待合室とかバスの座席とかで。ああいうのを連想した。大人なのにね。いいじゃん大人だって。なんだってやっていい。

 大人だけど、なんていうかすべての大人はかつて子供だったんだなーと、そういうふうに思ったのでした。

 

12月某日/

 ひさびさにあんパンを食べた。あ、うそです。あんパン自体はそれなりに食べてます。あの、なんかちっちゃいの5つで100円みたいなので食べてる。普段はね。あれずっしり重くて安心感があっていい。同じシリーズのクリームパンとかより重い。燃料になる。

 で、食べたのはそれに比べると大きいやつが1個包装されてるのです。ちゃんとけしの実とかも振られてる。いいやつだね。84円の2割引で買ったけど自分の中ではけっこういいやつです。

 味はすてきでした。言わなくてもわかるよね。

 もっと高級な、桜の塩漬けがのっかってるやつとかもひさびさに食べてみたいなあ。まあ無理かな。こういうのはちゃんと本気ならないと食べないまま死んじゃうやつだ。来世に期待。

 

12月某日/

 明日から1月6日まで図書館がお休みなのであわてて行く。借りたい本が4冊あったけど既に借りている本とあわせると3冊までしか借りられないので、断腸の思いで1冊あきらめる。買えばいいのにね。

 あきらめたのはロシアのおとぎ話の挿絵についての本。紹介されている挿絵がもう本当に美しくて、いつまで眺めてても飽きない。最初はイヴァン・ビリビン(イワン・ビリービン?)が目当てで手に取ったんだけど、他の画家の絵もすばらしかった。特にブラートフ&ヴァシリーエフによる「眠れる森の美女(ねむり姫)」の挿絵が好き。王子様まで美しい。すらっとしたスマートな人物画はちょっと少女漫画っぽさも感じて、日本人的にもわりと馴染みやすいと思う。あといかにもロシア絵本って感じの絵の具の濃い感じの絵もかわいい。海野弘 監修『ロシアの挿絵とおとぎ話の世界』(2012、パイ インターナショナル)という本です。

 他は『秘密の花園』のわりと新しい訳のとか『オズの魔法使い』の江國香織訳の新しいやつとかを借りた。

 明日から図書館が休みなのすごくかなしい。外にお出かけするのあんまり得意じゃないけど、図書館はわりと心安らかでいられる。いま住んでいるところで素晴らしいのは近所にかわいい小川が流れていることと図書館に歩いていけることだ。あとおいしいおもち屋さんがあることも。図書館に出かけて行って帰りに小川沿いを歩きながら栗餅を買って帰るとか本当に理想的。

 休館はさびしいけど図書館の人にもお休みが必要だからしかたない。休館期間中、灯台守みたいに図書館守として、日の出とともに起きて鍵を開け、日が沈めば鍵を閉めてまわる、という生活をできたらどんなにかいいだろう。

 あとこのblog(日記? よくわからない、なんかblogサービスを使って書いてるこれ)のデザインをちょっと変えた。あんまり何が変わったって感じでもないけど。